VWビートルのRRレイアウトは、世界中のクルマに影響を与え、戦後のルノー、フィアット、あるいは日本の軽自動車に至るまで、およそ小型車といわれる小型車は、こぞってこのRR方式を採用したものである。私がビートルに初めて乗ったのは、学生時代、神田の志乃多寿司で配達のアルバイトをしていたときのことだった。本店で炊いたシャリと甘辛く煮た揚げを、このビートルで都内のデパートまで配送するのである。このビートルの4速ミッションは、なんと3速で100に達するという、いかにもドイツ的なもので、機械的な精度がきわめて高く、エンジンの回転さえ合っていれば、クラッチを踏まずともシフトすることが可能であった。
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当時、東京の街を走っていた巨大なアメ車、鈍重な国産車に比して、ビートルのなんと輝いて見えたことか。シトローエン2CV軽量、小型の経済車を考えていたのは、ドイツだけではなかった。シトローエン2CVのプロトタイプがその姿を現したのも、第二次世界大戦がはじまった1939年のことである。シトローエン2CVはビートルとは対照的に、空冷水平対向2気筒エンジンを前に縦に置いて前輪を駆動するというレイアウトだが、これもビートル以上に先進的なクルマであった。