心気症の患者さんの中には、些細な症状が重大な病気の前触れであると信じ、どんなに大丈夫と言われても、「がんではないか」と病院をわたり歩く人もいます。中には、その検査の方がよっぽど辛いんじゃないか、と思うような検査を受け、「異常ない」と言われてもそれに納得できずまた別のところでそれを受け、生活の全てを病気を見つけてもらうことに費やす人もいます。それに比べれば彼女の心気症は、神経の病気とわかっている分だけ、まだ扱いやすい方なのかもしれません。身体の不調を訴えてやさしくしてもらいたい気持ちは、誰もが潜在的に持っています。それを程々にコントロールして生きていくことは、実はけっこう難しいことなのかもしれない――。彼女を見ていて、そんなことを感じました。とはいえ、彼女の病気は、全てが気持ちの問題ではありません。元からの自律神経の弱さや、うつ病の気など、身体的な要因も重なったからこそ、実際に症状が出るわけだし、薬に弱いのもまた、事実ではあります。